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2008
南条嘉毅個展 " 富士登山 "
Solo Exhibition " FUJI TOZAN -climbing Mt.Fuji- "
YUKARI ART CONTEMPORARY(東京)
パネル、綿布、土、アクリル絵の具、他
制作協力:本田將人
2008
南条嘉毅個展 " 富士登山 "
Solo Exhibition " FUJI TOZAN -climbing Mt.Fuji- "
YUKARI ART CONTEMPORARY(東京)
パネル、綿布、土、アクリル絵の具、他
制作協力:本田將人


本展「富士登山」は、「甲州道中」「東京湾」に続く、歩行と風景を主題とした連続する個展の最終章である。南条嘉毅は、駿河湾を望む田子の浦から富士宮、樹海を経て富士宮口より剣ヶ峰へ至る登山行を通して、土地に触れ、土を採取し、風景を再構成した。信仰と移動が交差する富士山を舞台に、身体的経験から立ち上がる風景の生成過程を絵画として提示する。

「富士登山」展は、「甲州道中」「東京湾」と続く三回にわたる連続個展の最終回として開催された。本シリーズに共通するのは、作家自身の歩行を通じて風景を検証し、日本人の移動・信仰・生活と深く結びついた土地のあり方を再考する姿勢である。
南条嘉毅は、風景を視覚的対象としてではなく、自然が物質へと転じ、物質が再び風景として知覚される境界的な領域として捉える。制作にあたっては、街や山々を歩きながら、自然が風景へと変わる地点、色や質感が立ち現れる瞬間を観察し、特定の場所を選定する。そして、その地点の土を採取し、ふるい分けたうえで、絵具と同等の素材として画面に重ねることで、土地の物質性を作品内部に組み込む。
本展では、海抜0メートルの田子の浦から富士山麓を経て、標高3776メートルの剣ヶ峰に至る登山行が制作の基盤となった。江戸時代に庶民の信仰と憧憬を集めた富士登山という行為を、現代において身体的に追体験することで、自然信仰と移動の記憶が風景としていかに形成されてきたかを問い直している。
本作群は、風景を再現するのではなく、歩行・採取・再構成という過程そのものを通じて、風景が立ち上がる条件を提示する試みである。富士山という象徴的な場を通して、本シリーズは、日本的風景観の生成構造を静かに可視化する地点へと到達している。
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