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2005

work in studio

work in studio

スタジオ牛小屋(神奈川)

溶岩、土、パネル、綿布、油彩、他

2005

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スタジオ牛小屋(神奈川)

溶岩、土、パネル、綿布、油彩、他

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本作《那智滝図》は、鎌倉時代の国宝「那智瀧図」を反転模写し、信仰と複製の関係を問い直す作品である。御神体に赴くことが叶わない人々にとって、絵は代替的な信仰の場として機能してきた。本作は綿布に油彩で描かれた意図的な「まがい物」として、風景や信仰が複製を通じて日常に受け継がれてきた日本的感覚を静かに浮かび上がらせる。

本作《那智滝図》は、鎌倉時代に描かれた「那智瀧図」を反転模写したものである。オリジナルの「那智瀧図」は、滝を御神体とする自然崇拝を視覚化した作品として知られ、同時に写実的意識を備えた風景画の先駆としても評価されている。現在は東京・根津美術館に所蔵され、国宝として数年に一度公開されている。

「那智瀧図」は、実際の御神体に赴くことが叶わない人々にとって、代替的な信仰の対象として大切に保管され、拝まれてきたと考えられる。日本文化においては、実物に触れられない場合、その代役となるイメージが重要な役割を担ってきた。広重の浮世絵により旅情を味わい、名所図会によって各地の景観を想像し、富士登山の代わりに富士塚に登るといった行為は、その典型である。

本作は、原作が絹本着彩であるのに対し、綿布に油彩で描かれており、掛軸の表装部分を含まない分、原寸よりも小さなサイズとなっている。言い換えれば、意図的に制作された「まがい物」である。江戸時代において、浮世絵や名所図会が広く流通するにつれ、雰囲気のみを伝える複製や簡略化されたイメージが増加したと考えられる。それらは必ずしも否定的に受け取られたのではなく、日常の中で一家に一枚、一冊あることが、安心や精神的支えとして機能していた。

複製という行為が必ずしも価値を損なうものではないとするならば、あえて「まがい物」を制作することにも意味が生まれる。本作は、信仰・風景・複製をめぐる日本的感覚を問い直す試みとして位置づけられる。

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